小児歯科

むし歯は伝染する
「小児のむし歯予防の原点は、母親にある」と言ったら、驚かれるでしょうか。
ミュータンス菌とサングイス菌
生後10ヶ月〜31ヶ月の間に、むし歯菌であるミュータンス菌が母から小児へと感染することで、お子様の口へとむし歯が移ってしまうのです。小さなお子様がいらっしゃる場合は、口移しなどで食べ物を与えないように気をつけてください。
問題は、一旦強く感染してしまうと、ブラッシング位ではミュータンス菌を減らすことはできず、”一生ミュータンス菌を抱えて過ごしていかなければならない”というリスクにあります。
逆に、上記の期間を無事に過ごす事が出来れば、サングイス菌(むし歯にとっての善玉菌)が定着しやすくなり、むし歯になりにくい口腔となっていくのです。

お子様のむし歯予防
食後の歯磨きは、歯の病気の原因となるプラーク(細菌の塊)を取り除き、お口の健康を守る大切な習慣です。お子様の発達に合わせて歯磨きのしつけをしてください。
食事のリズムとブラッシングのタイミングが重要
お子様の歯のトラブルを回避する上で、非常に重要となるのが食事のリズムとブラッシングのタイミングです。特に、食事の中でも間食に関しては、十分な配慮が必要となります。例えば、間食の回数が不必要に多かったり、眠る前にちょっとしたお菓子を食べたりすると、虫歯の発生リスクが高まります。
また、ブラッシングのタイミングについて、できるだけ毎食後に行うことが望ましいです。上述したように、お子様の歯は虫歯になりやすい傾向にあるため、糖質を摂取した後などにブラッシングせず長時間過ごすと、歯質の脱灰が確実に進んでいくのです。
間食の内容に関しては、できるだけ糖質の少ないものを選ぶようにしましょう。甘いものを食べるにしても、代用糖などが使用されたお菓子を選ぶと、虫歯の発生リスクを低減させることができます。
年齢別のポイント
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歯ブラシを持たせて慣れさせましょう。 |
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自分で磨こうとします。一緒に磨いて真似をさせると歯磨きが習慣になります。 |
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乳歯が生えそろう時期。自分で磨くようにしますが、磨きは不十分です。必ずチェック磨きをして、磨き残しがないようにします。 |
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永久歯が生えます。子どもの「自分で磨く」気持ちを大切にしましょう。仕上げのチェック磨きは最初の永久歯(六歳臼歯)を中心にしてください。 |
仕上げのチェック磨きを忘れずに
子どもがきちんと歯磨きができるようになるのは、かなり大きくなってからです。それまでは、お母さんが必ずチェック磨きをしてあげてください。歯と歯のすき間、歯の裏側、奥歯の磨きにくいところなどは、特にていねいに磨いてあげましょう。毎日のチェック磨き(仕上げ磨き)がお子様の歯を守ります。

子供の歯と口の病気
乳歯は虫歯にかかりやすく進行が速いので、注意して見てあげてください。
むし歯の原因
むし歯を防ぐには、むし歯になる4つの条件がそろわないように注意することがポイントです。
- 歯の質
- 細菌
- 糖分
- 歯を磨くまでの時間
むし歯は乳歯が大好き
乳歯は柔らかい
乳歯は大人の歯(永久歯)より小さく柔らかいものです。さらに子どもはおやつなどで糖分を口にする機会が多く、自分で上手に歯磨きができないことがあり、たいへんむし歯にかかりやすいのです。
進行がとても速いので要注意
乳歯のむし歯は進行がとても速く、むし歯にかかっても自覚症状が出にくく、痛みを感じたときには歯髄炎にまで進んでいることもあります。また上の前歯や奥歯は特にむし歯になりやすいので、家族の方が注意して見てあげることが必要です。

子供のむし歯の予防処置
最近の研究では、歯磨きの後で、あまり『うがい』をしない子供の方がむし歯の発生が少ないと言う研究も発表されました。
1
歯を良く磨くこと(当たり前ですね)

子どもの歯に適した磨き方を1人ひとりの歯の生え方に合わせて指導しています。
磨き残しがないように!がんばろう!
2
フッ素入りの歯磨き剤、“うがい”を軽く2,3回

歯科医院で塗布されているフッ素は歯磨き剤のそれより9倍程度の濃度が有りますので、6ヶ月に一度くらいは、歯科医院で塗布を受けるのも効果的でしょう。
3
シーラント

奥歯の溝をレジン(プラスチック)という素材で埋めてむし歯を防ぐ方法です。時間が経つと剥がれてしまうので、定期検診で溝を埋め直しておく必要があります。特に生えて間もない六歳臼歯はむし歯になりやすいので、シーラントは非常に効果があります。
4
キシリトール

キシリトールは天然の甘味料です
主な原産地はテレビCMでもお馴染みのフィンランド等の北欧で、私たちの身近なところではイチゴなどにも含まれていますし、私たち自身も自分達の肝臓で一日に15グラム程度のキシリトールを作っています。キシリトールはWHO(世界保健機構)から安全性が認められている安全な甘味料です。砂糖と同程度の甘味を持っていながら、カロリーは40%も低いのです。
食後にキシリトールを摂取する方法
長期間、継続的にガムやタブレットで食後にキシリトールを摂取することを習慣化して、継続的に行うのが最大のポイントです。フィンランドでは国の政策として、学校での食後にキシリトール入りのガムやタブレットが配布され、徹底したむし歯予防を行っています。食後にキシリトールを摂取する習慣があるフィンランドでは、15年間に実に約80%ものむし歯を減らすことに成功しましたそうです。この効果を試さない手はありませんね。